分度器の目

コラム

今年の夏は異常です。いまだ暑さが続きなかなか終わりがみえません。

八月下旬テレビで涼しいといわれている千葉県勝浦にいってきました。今年の夏の異常な暑さは、ここにも及んでいるようであまり涼しさを感じませんでした。久しぶりに泳ぎましたが、“海水がぬるい”。監視台のところに水温が表示してありましたが、水温28度!納得です。今年は日本の海域がこれくらいの温度ですから、今夏の暑さの一因にもなっているのではと思います。

前回、人にはS,M,L錐体でがあり色を検知するとお話ししました。しかし人が持つ三つの錐体では、赤外線や紫外線はどのようにして発見されたのでしょう。

赤外線を発見したのは、ドイツ人のハーシェルです。
もともとは音楽家で、後に天文学を学び天体望遠鏡を制作した多才な人物です。身近なところでは、天王星を発見した人です。最近では、ハーシェル宇宙天文台で、その名前を耳にされた方がいるのではないでしょうか。ハーシェル宇宙天文台とは、太陽周回軌道に打ち上げられた赤外線望遠鏡を積む衛星でした。

アンドロメダ星雲 / ハーシェル天文台話はそれましたが、1800年ハーシェルはプリズムを通した可視スペクトルの赤色光のとなりに温度計を置いたところ温度があがり、可視光のスペクトルを超えても目に見えない光があると結論づけました。これが、赤外線発見で、1800年のことです。

では、紫外線はどのようにして発見されたのでしょうか。赤外線が発見された翌年1801年、ドイツ人リッターがやはりプリズムの紫の外側に光に反応する塩化銀を塗った紙を置き、黒くなることにより発見しました。

さて現在はプリズムや回折格子などで分光し、検出器で検出し記録することにより確認できます。ここで利用される検出器ですが、紫外から赤外に至る波長領域を一つの検出器でカバーすることはできません。右図のようにセンサーの材料により検出できる波長領域に特性があるからです。

紫外~可視領域にはSiフォトダイオードなどが、近赤外領域ではInGaAsフォトダイオードやPbS光導電素子が使用されます。さらに中赤外領域ではMCTなどが使用されます。
図を見てお分かりのように、Siフォトダイオードは1000nm付近から感度特性が落ちます。これに重なるようにInGaAsフォトダイオードの感度特性が上がっていき、1800nm付近で落ちます。これでは近赤外領域をカバーしていないではないか!と思われるのではないでしょうか。下左図のようにInGaAsには、いくつか種類があります。短波長側に感度特性を持つもの、広くカバーするものなどがあります。ただ、近赤外領域を十分な感度特性を持ってカバーする検出器がないので、二つを組み合わせて使用している機器もあります。ちなみに、可視~近赤外領域をカバーさせるには、SiフォトダイオードとInGaAsフォトダイオードを二つ組み合わせます。

近赤外領域を広くカバーする検出器としては、下右図のようにPbS光導電素子がります。以前はPbS光導電素子を用いた近赤外分析計がほとんどでしたが、PbS光導電素子は応答速度は遅いためか、現在はあまり使用されなくなっているようです。
またフォトダイオードと光導電素子という根本的な違いがあります。フォトダイオードは、光が照射されると電子が励起され電子の流れ、すなわち電流として計測されます。光導電素子は、あらかじめ素子に電圧がかけられており、光が照射されると抵抗値が低下し電流が流れます。
つまり分光器の光センサーも、人の光センサーS,M,L錐体のようにいくつか組み合わせる必要があります。

InGaAs フォトダイオードの感度特性浜松フォトニクス HP より
PbS 光導電素子の感度特性 島津製作所 HP より

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