以前であれば夏も終わり秋の気配が感じられる頃なのですが、昨今の温暖化のためまだまだ暑い日々が 続きそうです。ギラギラ輝く太陽が恨めしい!
今回も赤い太陽の続きです。赤い光が降り注ぐ世界はどんな世界なのか?写真に フィルター処理をすれば再現できるのですが、それでは実感がない。そこで外光のはい らない部屋でライトを赤いセロハンで覆い赤い光の世界を作り、白い紙の上に身近に あったトマト、バナナ、ピーマンを置いて見てみました。本来であればスペクトルをとりた いところですが、今回もアプリを使用し色成分を数値化しました。照射する光は、右 図にあるようにほぼ白と判断できます。
カラーセロハンはダイソーで購入したものです。 ダイソーのセロハンではないのですが、おそらく右図 のようなスペクトルになるのではと思います。 赤セロハン600~900nm の光は透過してい るようです。この赤セロハンを透過した光を用意し たサンプルに照射した結果が下の写真です。
当然赤い光を反射しているトマトは確認できます。黄色いバナナも確認できます。バナナの反射スペクトル は下図右のようになり、確かに白色光下での数値(下図左)と同じ傾向です
バナナのスペクトル https://optica.cocolog-nifty.com/より
バナナは 450nm~800nm にかけて光を反射するので、赤い太陽ももとでも確認できることになります。 ピーマンはどうでしょう。実際の反射スペクトルはわからないのですが、測定結果ではわずかに赤が検出されています。ただこれは、鏡面反射を測定しているのかもしれません。赤い太陽下では、ほぼ見えないのでは ないかと思います。
このカラーフィルムには、緑、青も入っています。身近にあったもので野菜や果物で緑のものがピーマンでし たが、青のものがありません。ちょっと考えても、青い果実は思い当たりません。自然界で青いものといえ ば、青い朝顔でしょうか。これも身近にないので、青い物に青色光を当てることが出来ませんでした。青い 果実や野菜がないのは、空の青と混同してしまい、動物が見つけにいからだそうです。ということは、地球が 赤い光で照らされていた場合、赤や黄色の果実は存在しなかったかもしれません? 緑、青色光下でバナナが見えそうですが、それ以外はほぼ見えないでょう。先のバナナのスペクトルからも、 500nm から長波長側は反射しているので、それを裏付けています。
緑色光下で本来見えそうなピーマンが見えません。白色光下でもピーマンは緑成分があまり検出されてい ないので、測定方法がうまくなかったようです。
今回テストした果実は、緑、青色光下では発見しにくく、見た目もおいしそうではありません。 本来果実は動物などに食べてもらい子孫を残すためです。見つけてもらわなければ、その目的を達成でき ません。今我々が見ている太陽光下で霊長類だけでなく他の生物に発見されやすい色として、赤や黄が 主たる果実の色となったのでしょう。仮に青い食べ物はあったとしても、いくら味が良くてもおいしそうに思え ません。ある大手スーパーの食品開発部では、視覚による判断を遮るためピンク色の光の下で試食するそ うです。確かに色も食べ物には重要な要因です。ピーマンも熟せば赤くなります。以前実益を兼ねて日除 けとしてゴーヤを植えたことがあります。実がなり青い時に収穫しますが、取り忘れるとオレンジ色になりはじ けていました。ゴーヤは青い物を食するという頭があり捨てていましたが、実は結構甘いという話がありま す。今思えば一度は試しておけばよかったと思います。多くの果実は完熟すると赤や黄色になります。果 実の色は子孫を残すという目的のために、太陽光のもとに進化を遂げた結果です。ことなる環境下では、 また違った進化を遂げたに違いありません。それはこれらを食べ物とする動物の視細胞の進化も今と異な るものになったでしょう。この広大な宇宙のどこかに、今の太陽系とは違う環境下で進化した生物が存在 するかもしれません。
赤い太陽の世界とは逆に赤い光のない世界もあります。 それは海中の世界です。水分子の吸収により、赤い光は 水深10mほどでほとんど減衰してしまします。陸上で赤 く見えるということは、赤い光を反射しそれ以外は吸収する ということです。例えば高級魚である金目鯛は、きれいな赤 色をしています。ところが水深の深いところでは反射する赤 い光が存在しないので見えなくなります。生き延びるために 獲得してきた光との関係は実に興味深いものです。 最近青いロブスターが捕獲されたとのニュースがありました。 200 万匹に 1 匹の割合で存在する希少なロブスターの ようです。このロブスター海中ではめだったのでは?
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