みなさんが気になった内容についてお答えしています
近赤外分析とは?
近赤外線(NIR:波長800~250nm)をサンプルに照射して、その吸収強度から定量分析、定性分析を行う分析法です。詳しい内容はこちらからどうぞ。
近赤外分析で何が測定できますか?
近赤外光の吸収は分子の官能基(-OH、-CH、-NH、-SH)によるものですので、有機物中のこれら官能基を持つ分子構造に関係した項目となります。例:水分H2O
赤外分析と近赤外分析の違いは何ですか?
赤外分析(FT-IR)は分子の官能基の基準振動による吸収を測定し、近赤外(NIR)ではその基準振動の倍音や結合音を測定しています。一般的にその倍音や結合音は基準振動による吸収の1/10~1/100の強度に弱まりますので、近赤外分析ではサンプルを希釈(もしくはATR法)することなく、非破壊で測定することが可能です。
近赤外分光法とラマン分光法の違いは何ですか?
近赤外分光法は800-2500nmまでの近赤外光の「吸収」を測定します、一方ラマン分光法はある特定波長の光(レーザー光)を照射し、その「散乱」を測定します。一般的には近赤外分析は定量目的が多く、ラマン分光法は定性目的が多いと言えます。
フーリエ変換型と分散型の違いは何ですか?
赤外分析(MIR)ではフーリエ変換型(FT-IR)がほとんど製品の光学系で採用されていますが、近赤外(NIR)ではフーリエ変換型と分散型が共存しています。一般的にフーリエ変換型は同時に全波長域のデータを測定し、分散型は時系列的に対象波長のデータを測定します。また分散型の中にも回折格子(グレーティング)方式やダイオードアレイ方式など、様々な種類の光学系があり、目的と用途に応じて使い分けられています。
近赤外分析を行うにあたっての消耗品はありますか?
分析用としてランプを光源として用いていますので、光源ランプ(通常はハロゲンランプ)が消耗品となります。その他フーリエ変換型の近赤外分析計(FT-NIR)ではレーザーも用いていますのでレーザーも消耗品となります。
液体のサンプルを測定するに際の注意点は?
近赤外(NIR)では通常、液体サンプルは透過モードで測定することが多いと思いますが、透過測定では光路長(サンプル厚さ)の再現性が重要になりますので、石英セルを使用するなどの光路長再現性に努めます。また水溶液サンプルの場合、そのサンプルの品温によりピーク(-OHの)がシフトしますのでサンプル温度をコントロールしての測定が不可欠になります。
ガス(気体)の分析に近赤外分光法は使えますか?
ガス(気体)は分子の集合状態が希薄ですので、通常近赤外分光法でスペクトルを測定するということが難しいと言えます。
近赤外分析で測定できないサンプルはありますか?
近赤外(NIR)光は可視(VIS)領域の光に近いですので、見た目に黒いサンプルは測定できません。また分子の集合状態が希薄なガス(気体)の測定も難しいと言えます。
近赤外スペクトルはブロードで解析が難しいと思うのですが?
ブロードな近赤外スペクトルの解析は多変量解析(ケモメトリックス)が必須になります。近赤外分析計には専用の多変量解析ソフトウェアが付属していたり、外部の多変量解析ソフトのデータが取り込めるようになっています。
近赤外分析の検量線はブラックボックス的で作成するのが難しいと聞きますが?
それぞれの測定項目の検量線には、最適なスペクトル処理、使用する波長範囲、回帰アルゴリズム(重回帰やPLS回帰、他)、説明因子数、等がありますが、最近はそれらの最適化を自動で行ってくれる多変量解析ソフトウェアもあります。
近赤外分析の検量線を作成するのに必要なサンプル数は?
計算上は3点あれば作成(回帰)可能ですが、測定項目の分析範囲、その分布状況、外乱要因(季節変動、等)、客観的評価を考慮すると、30~50点以上というのが通常かと思います。
光ファイバーを用いたオンライン測定を考えていますが、注意する点は?
近赤外領域の光ファイバーは通常は石英ファイバーを使用しますが、その長さに応じて短波長側(800-1200nm)と長波長側(2200-2500nm)の光の透過率が減衰しますので、目的とする測定波長域と光ファイバーの長さに十分考慮してください。また光ファイバー敷設時の屈曲半径をあまり小さくすると、光の減衰と長期耐久性の低下が起こりますので、敷設時には十分に注意してください。
購入する場合はどうしたらいいですか?
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